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アンプ音質の要点解説|電源・ケーブル・端子の設計思想(その1)

オーディオアンプのキモ その1

― 電源・電源ケーブル・端子から見る音の本質 ―

オーディオアンプに関して言えば、多くの方の関心は「アンプ内部の機構部品」に向きがちです。

これは、長年オーディオ誌でそのような切り口の記事が多く掲載されてきた影響が大きいと思われます。

オーディオライターや評論家は、たとえ効果が明確でなくとも、何らかの記事を書かなくてはなりません。

そうした背景の中で、オーディオ界にはさまざまな「音にまつわる話題」が生まれてきました。

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電源極性と音質の話 ― 長岡鉄男氏の指摘

今から約40年前、故・長岡鉄男さんは、100V電源の極性によって音質に差が生じる可能性があることを指摘しました。

この現象はオカルト的な話ではなく、電源トランス一次巻線の「巻き始め」と「巻き終わり」が入れ替わることで、一次巻線とアース間の容量(ストレーキャパシティ)が変化するという、はっきりした物理的理由によるものです。

重要なのは、この違いが

  • 歪率

  • 出力

  • 周波数特性

といった 一般的な電気特性には現れない という点です。

それでも当時、多くのオーディオメーカーは、電源ケーブルに極性表示を入れることで、評論家の指摘に追随しました。

メーカーのエンジニア達は、必ずしも入念なヒアリングを行ったわけではありません。

「オーディオ誌に取り上げられれば売れる」

そう言われた時代背景もあり、結果として対応した、というのが実情です。

もっとも、これは決して悪いことではありません。

シャーシ電位測定と“良心的な取扱説明書”

その後、オーディオマニアやアンプクラフトマニアの間では

  • シャーシの交流電位を測定し

  • 電位が低い方を「極性が合っている」

とする考え方が広まり、ある種の常識となりました。

一方で、心あるメーカーの取扱説明書には

「実際に聴いてみて、気に入った向きでお使いください」

と記されているものもあり、これは非常に良心的な姿勢だと思います。

なお、現在でもこの現象を強く信じている、熱心なクラフトアンプマニアの方が少なくないのも事実です。

医療用電源トランスの事例 ― 橋本電気

参考例として、医療用の電源トランスがあります。

医療用途では、患者が万が一にも静電的に感電しないよう

  • コアに厚い絶縁紙を巻き

  • 巻線のストレーキャパシティを極限まで小さくする

という設計が行われています。

この仕様の電源トランスを使えば、長岡鉄男さんが指摘した「電源極性による音の違い」は、ほぼ発生しないと言ってよいでしょう。

具体的には、橋本電気が納入していた医療用トランスには、そのようなノウハウが詰め込まれていたと聞いています。

ACインレットと電源ケーブル市場の拡大

約35年前から、アンプの電源ケーブルは ACインレット方式 が一般化しました。

これは海外製電気機器では、取り扱いの利便性から当然の流れでした。

この動きを見逃さなかったのが、アクセサリー系メーカーです。

彼らはすぐに「特別な電源ケーブル」を商品化しました。

ここで冷静に考えてみましょう。

  • アンプ付属の電源ケーブル:約180cm

  • 家庭内配線(柱上トランスから):約20m(Fケーブル)

  • アンプ用電源トランス一次巻線:約20m(100W級アンプ)

  • 銅線純度:いずれも概ね 4Nクラス

この中で、180cmの電源ケーブルだけを6N、7N、ハイブリッド銅、特殊被覆にする意味は、どこまであるのでしょうか。

もちろん、それらは高額商品として販売され、今や電源ケーブル市場はオーディオ産業において欠かせない分野になっています。

私個人としては、許容電流に十分な余裕があるケーブルであれば、特に問題はないと考えています。

アンプの消費電力とAクラス動作

一般的なアンプの消費電力は

  • アイドリング時:10~30W程度

  • 大音量再生時でも平均50Wを超えることは稀

(※純Aクラスアンプを除く)

一方、純Aクラスアンプは、常に最大出力相当の電力を消費します。

夏場は特に、地球温暖化の観点では「有害」と言わざるを得ません
(冬は暖房になりますが)。

Aクラス動作にこだわるのであれば

  • 負荷抵抗を上げ

  • Aクラス前提の動作方式を採る

ほうが、賢明だと思います。

なお、純Aクラスアンプであっても、負荷が4Ωなどに下がると、実際にはABクラス動作に移行せざるを得ません。

それでも消費電力は下がらないのです。

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スピーカー端子の進化 ― JBLから現在まで

1960年代のオーディオアンプのスピーカー出力端子は、正直に言って、みじめなほど小型でした。

細いスピーカーケーブルを、やっとの思いで接続するような構造です。

これを飛躍的に改善したのが JBL です。

JBLスピーカーの入力端子は

  • スプリング入り構造

  • 端子を押して穴にケーブルを入れるだけ

  • スプリングの残留応力で確実に固定

という、非常に実用的なものでした。

日本メーカーもすぐにこれを取り入れ、スピーカー入力端子、アンプ出力端子は同様の構造になりました。

ねじ止め端子と“豪華端子”の登場

1970年代に入ると

  • 「ねじ止め構造のほうが確実」

という考え方が主流となり、部品メーカーが安価な2組用出力端子を商品化しました。

以後、形状は大型化しつつも、基本構造は現在まで踏襲されています。

しかし

  • 太いスピーカーケーブル

  • 高純度銅ケーブル

に対応するには、やや見劣りするようになりました。

そこで、アンプクラフトマニア向けに、立派なスピーカー端子が登場するようになります。

  • バナナプラグ対応

  • 大型Yラグ対応

といった仕様です。

メーカーの考え方

多くのオーディオメーカーが、原価的にそこまで豪華な端子を採用しないのには理由があります。

メーカー出身エンジニアの多くは

  • 内部配線

  • プリント基板

  • 全体の電流経路

を考慮すれば、標準的な端子で十分に低い接触抵抗と高いダンピングファクター(DF)が得られる
と考えているからです。

実際、アキュフェーズ、LUXMAN、マランツ等も同様の考え方でしょう。

とはいえ、「自分のアンプを格好よく、豪華に見せたい」という気持ちは理解できます。

そのため、最近のアンプでは

  • 金メッキ

  • バナナプラグ対応端子

を標準仕様としているものが多いのでしょう。

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RCA端子について

RCA端子は、今はなき名門ブランド RCA社 が開発した接続端子です。

  • ホット側が先に接触してしまう欠点はあるものの

  • ホットの周囲をグランドでシールドする構造

という、合理的な設計がなされています。

今なお使われ続けている理由は、十分に理解できるでしょう。

ただし、メーカー向けRCA端子は端子間隔が約18mmと狭く、
太いRCAケーブルが差しにくいという欠点があります。

ここも、注視してみるといいでしょう。

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