トランス式アッテネーターは減衰器の中で最も音が良いと知り、興味が出て調べていたある時に、イシノラボの商品の中にトランス式のパッシブプリアンプというものを見つけました。
アンプの自作をしてからボリュームにこだわった中で、アルプスのRK27、東京光音のコンダクティブプラスチックボリューム、某サイトで音が良いと言われたLinkmanのボリュームなど、数々のボリュームを試してきました。
しばらくは100万円のアンプにも採用されているRK27が最強だと思い使っておりましたが、それよりも上があると知ってしまっては試してみたくなるのが人の性。
通常のトランス式アッテネーターだと音やせするというコメントもネット上では見受けられることから、しっかりと設計されたイシノラボさんのパッシブプリならその問題もないのではと都合よく判断。
公式サイトを読むほどに私はまんまとトランス式パッシブプリアンプに魅了され、まとまったお金が入った時に購入してみたのです。
RK27を搭載した自作真空管パワーアンプをメインで使っているので、これに接続した時の音質について書いてみたいと思います。
イシノラボ製品の情報はまだ少ないと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
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イシノラボのパッシブプリアンプの実力
私はファインメットコアのCA-777GFM/HPという、ヘッドホン端子搭載のトランス式パッシブプリアンプを2023年に購入しました。
普段イヤホンリスニングもするので、フルバランスタイプと迷いましたがこちらをチョイス。
電源を取らずにトランスの巻線比だけで電圧増幅するので、ノイズは全く乗らないと言っていい優れた製品ですね。
私はツマミのラインの赤色が苦手なので、黒色に変更してもらいました(オプションで3,300円)。
これでかなり良い面構えになりました♪
それでは、アンプと繋げて音出ししていきたいと思います。
真空管アンプとつなげてみた
私のオーディオシステムはSICA Z006510という25cmフルレンジの平面バッフル(900mm×600mm)スピーカーに、真空管アンプはサンバレーのSV-S1616D多極管仕様(KT90)を接続したもの。
これにパッシブプリを接続します。
早速音出しをして第一に思ったのが、真空管アンプ単体で聴いた時よりほんのわずかに情報量が減った?ように感じました。
気になっていたRK27による音質(ボリュームを通していることによる)劣化を抑えることを期待して10万円以上の高いお金を払ったので、私は「げげっこれは失敗したか」と早速後悔。
思い返せばイシノラボさんが扱っている製品の中には、パーマロイコア採用のものやフルバランス回路のものがあり、やはりフルバランス回路でないと十分にドライブできず情報量が減って聴こえてしまうということなのだろうか。
もしくは音声信号の通り道が長すぎて、情報量が減ってしまうのか。
それともネットで言われている、トランス式アッテネーターを通すと音やせするという現象がこれなのだろうか。
でもこれはアッテネーターではなくパッシブプリだし。
…いろいろ考えて途方に暮れながらも曲を聴いていると、音の解像度が飛躍的に向上していることはどの音源でも分かりました。
しばらく聴いた後に、パッシブプリを外してプレーヤーから真空管アンプに直接繋ぐ接続に戻してロックを流すと、高音域の粗さが目立つことが分かるくらいに解像度が変わるのです。
CDプレーヤーだけでなくPCからも音楽再生しようと試していたある時に、わずかにブツっというノイズが入りました。
これは!と思い、イシノラボさんにメールをしてみることに。
やり取りはこのような感じです。
1つ目は音楽再生中にブツっとノイズが入ることがありますが、トランス式パッシブプリアンプで今までにこのような事例がありましたか?
最近D/Aコンバーターの部品交換もしているため、これも気になってはおります。
2つ目はパッシブプリを真空管アンプに接続すると、わずかに音がやせた感じに聴こえます。
インターネット上でトランス式アッテネーターを通すと音やせするという意見が見受けられますが、こちらの商品でもそうなのでしょうか?」
1つ目の質問について、パッシブアンプなのでノイズを発生する要素はまったくありません。
ですが、D/Aコンバーターと合わせてこちらに返送していただければ、チェックすることは可能です。
2つ目の質問について、ノイズが発生しないので、その分だけ情報量が減ったように聴こえることがあるでしょう。これがほんとうの音です。評論家にそのようなことを書く方がおられます。」
なるほど、つまり今までノイズ成分も含めて聴いていたということですね。
がっかりしていた気持ちは、メールの返信により安心に変わりました。
やはり音のことはネットで調べるよりも、専門家の方に質問する方が明確な答えを教えてくれます。
これが本当の音だったのかと納得し、それからはパッシブプリを通して色々な音楽を聴いて楽しむことができるようになりました。
実は、低音の量感も変わっております。
これなら低音の量感を好みに合わせるために、繋いだり外したりする使い方もありだなと思いました。
※たまに入るノイズはパソコンの動作により入っているものでした(笑)
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イヤホンとヘッドホンで試聴
こちらのパッシブプリを検討されている方は、イヤホンとヘッドホンリスニングにも興味があるかと思います。
私が購入前から音質よりも先に気になっていたのは、パッシブプリのみで一体どれほどの音量が得られるのだろうか?ということ。
商品ページには50オーム以上を推奨と書かれていますが、私が接続するものはおそらく16オーム~32オーム程度と思われるipodのイヤホンです。
ボリューム位置をMAXにしても十分な音量が得られなかったらと、不安と期待が入り交じります。
早速繋いで音出しすると、ボリューム位置10時で大音量再生ができました。
12時の位置では大きすぎて、長時間の再生はきついかもって感じ。
一番心配していたので、これには本当に安心しましたよ。
それにしても、こんな高級品になぜipodイヤホンを?と思われる方が多いかもしれません。
私の中ではこのイヤホン、開放型でとても素直な音が鳴ってくれる素晴らしい製品で個人的にイチオシ。
気に入って長年使っているのです。
肝心の音質についてはこれもやはりさすがの解像度、ドラムもベースも曇りのない音で鳴ってくれます。
ゼンハイザーのHD598というヘッドホンも所持しているので接続して鳴らしてみると、SONYのウォークマンNW-S765から鳴らすよりもずっと力強く、十分にヘッドホンをドライブできていることが分かります。
でも、HD598の構造的に仕方ないのか少しこもったような音にも聞こえました。
高音域が足りていないというよりは、中音域が多すぎる印象。
パッシブプリを通してこのような音になるの?という感じで、私個人的にはHD598とはあまり相性が良くないかもしれないと思いました。
総じてパッシブプリは電源を取らずにこれだけ鳴らせるなら、ヘッドホンアンプとしても十分過ぎる性能だと確信しました。
ヘッドホンアンプのみの音と比較
私はこちらの6BM8無帰還シングルアンプを所持しています。
自作キットを改造し、大きな特徴はボリュームを東京光音にしていること。
ipodイヤホンをパッシブプリ単体で聴く場合と、6BM8アンプ単体で聴く場合で比べてみます。
正直ノイズなどは置いておいて、パッシブプリから鳴らす音よりも6BM8アンプ単体から鳴らす音の方が私は好きです。
電源を取っているためなのか力強く聴こえるし、真空管なので音がよく響きますね♪
この力強く聴こえる音や響く音こそノイズなのかもしれませんが、ある意味真空管アンプはノイズを楽しんで聴く一面もあると私は考えています。
また、パッシブプリと6BM8アンプとで繋いでイヤホンリスニングすると、何だかすごい音になりました(笑)
言葉にするのが難しいのですが、駆動され過ぎている?ような音でしょうか。
ゆったりと聴くには向かないと思いましたし、この接続で聴こうとは思いませんでした。
私的には楽しんで聴くなら6BM8アンプに繋ぐ方がよくて、BGM的に聴くならパッシブプリかな。
まとめ
イシノラボさんのパッシブプリの1つ、CA-777GFM/HP導入のお話を書きました。
最初は慣れない音に購入したことを後悔しかけましたが、情報量についてはノイズ成分が減っているだけで、解像度は数段上がるので間違いなく音の質は向上していると知り、今では気に入って使用しています。
また、イヤホンリスニングが6BM8アンプから変わり、電源を取らなくなり経済的になったため気軽に使えるようになりました。
ゲームはイヤホンで良い音でやり放題ですね♪
ただ、イシノラボさんの商品にはほかにもフルバランス対応のモデルやパーマロイコア搭載モデルなど魅力的な商品が多数存在。
私は今回のモデルを購入後の今も、イシノラボさんの他のモデルに目移りすることがあり、困ったものです(笑)
でも、イシノラボさんのパッシブプリを導入すれば間違いなく解像度は上がるので、重視されている方はぜひ参考にしてみて下さい。
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