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プリメインアンプ名機は?オーディオブームで競い合った5選

オーディオ

「プリメインアンプの名機とは、このメーカーならこの製品である」と、自信を持って説明することはできますか?

知識や経験があまりないし、よく分からない。

特にオーディオを始めたばかりだと、そのような方が多いかも知れませんね。

私も最初は分からないことだらけで、初めて使ったプリメインアンプであるオンキョーのA-817XGというものが、ミニコンポからの買い替えだったために、とても良い音で感動したことを覚えています。

A-817XGはMOS-FETが使われているために、全音域に渡り聴きやすい音が特徴で、最初は良い音だと思い使い続けていましたが、途中で低音域の量感とキレが足りていないことに不満を感じ始めました。

何とか調整できないかと、スピーカーの向きや置き場所を変えてみたり、BASSレベルを上げてみたりしましたが、どう調整しても納得いかずに1年も経たないうちに買い替えたくなってしまったのです。

このままではオーディオが永遠に分からないままで終わってしまうと思い、ある時にハードオフで働くことに決めました。

ハードオフではオーディオを担当させていただくことができ、買取や接客を通じてプリメインアンプの名機がどのようなものか知ることができました。

特に買取時のプリメインアンプの動作チェックが最強で、チェック用スピーカーから音出しして実際に聴くことができたのです。

こうして私は、今ではプリメインアンプの名機と言えばこれだな、と言えるようになりました。

かつての私と同じように困っている方も多いと思い、今ではオーディオ歴20年、ハードオフで7年間働いたことのある私が、プリメインアンプの名機について各メーカー毎にまとめてみました。

ぜひご覧ください。

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プリメインアンプの名機をチョイス

オーディオブームと言われていた1970年代~1980年代において、598(ゴーキュッパ)戦争や798(ナナキュッパ)戦争という言葉をご存じでしょうか。

この数字は、プリメインアンプの定価5万9,800円と定価7万9,800円を表しています。

どのメーカーもこの定価で販売し、競い合っていたことから598戦争798戦争などと呼ばれていました。

同じ価格であるのにメーカー毎に音の特徴があったために、このメーカーはこの音だとさえ言われていたほど。

そのくらい、当時はオーディオが熱かったのです。

「俺はサンスイのアンプを使っているよ」

「じゃあ、スピーカーはJBL?」など。

当時の会話が目に浮かぶようです。

それでは、プリメインアンプの名機とは何かを考えてみましょう。

私は、ずっと使い続けていられるほどの良い音を出せるアンプだと考えています。

そう考えた時に、ONKYO A-817XGは名機とは言えません。

途中で買い替えたくなりましたからね。

ONKYOもそうでしたが、オーディオブーム当時は各社ともアンプを発売しながらも、お互いに競い合いながら技術を高めていました。

(裏話ですが、ソニーの設計者の方がビクターの設計者の方に、スピーカーの設計法について教えてほしい、と尋ねていたくらいです。)

そして、2000年以降はオーディオブームが去ってしまい、これ以降に発売したモデルですと、10万円以下のアンプはただただコストダウンによって作られたものばかり。

よって、高いお金を出す価値のない音しか出てきません。

つまり、オーディオブームだった頃のアンプの中から選ぶことが、賢い選択になるんですね。

定価7万9,800円のアンプの中古相場は大体1万5,000円~2万5,000円ほどと、今なら比較的安く手に入れることができます。

ただ、定価7万9,800円のアンプだと、私のように途中で買い替えたくなるケースが出てくるでしょう。

7万9,800円のアンプの上位モデルや後継モデルなら、名機と言える機種があります。

現在の中古価格で手を出しやすい範囲内で、私の経験から名機と言えるものをチョイスすると、中古相場5万円以下の製品なら十分であると判断。

そのため、今回は中古相場5万円以下のアンプから名機を選びました。

私が選んだのは以下のアンプです。

型番 相場 おすすめ度 音の特徴
サンスイ AU-α607L EXTRA 3万5,000円前後 ★★★★☆ 抜群のドライブ力
ヤマハ A-1000 2万5,000円~3万5,000円 ★★★☆☆ 自然なサウンド
ソニー TA-F555ESXⅡ 3万円~3万5,000円 ★★★★☆ 聞き疲れしない
パナソニック SU-MA10 3万円~3万5,000円 ★★★★★ 超高解像度
NEC A-10 TYPEⅢ 4万円→10万円 ★★★★★ 圧倒的なキレ

 

サンスイの名機は抜群の駆動力

引用:https://audio-heritage.jp/SANSUI/amp/au-alpha607lextra.html

AU-α607L EXTRA 定価8万5,000円 1989年ごろ発売
中古相場 3万5,000円前後
おすすめ度★★★★★

このアンプは非常に優秀で、音に関しては私は欠点は見つけられなかったですが、それ以外であえて言えばメンテナンス性が悪いところが欠点でしょうか。

サンスイのアンプって変な壊れ方をするんですよ。

自分でメンテナンスするにしても、経験のある私でもちゃんと直せなかったり、一度分解したら元に戻せなくなることもありました。

ちゃんと作業写真を細かく撮ったのにです。

あの時は非常に焦りました。

そんなサンスイのアンプの技術で、Xバランス回路というすさまじい技術をご存じでしょうか。

紹介しているAU-α607L EXTRA以外にも、たくさんのサンスイのアンプに搭載されています。

Xバランス回路は、上位モデルの707や907にも標準的に搭載されている代物。

最上位モデルであるAU-α907L EXTRAの定価は25万円、中古相場は10万円前後で、このような高級品にも使われている優秀な回路です。

そんなXバランス回路とは、スピーカーをバランス方式、つまり+と-の両側から駆動させるとんでもない回路なのです。

これが中古相場3万5,000円前後で入手できてしまうという。

すごくないですか?

しかも、例えば3wayスピーカーに接続した場合に出てくる音は、まさに音が面で、全体域に渡って不足感のない音楽に浸れる音となるのです!

この音こそXバランス回路によるもので、サンスイのアンプにしか出せない音です

サンスイのアンプはまさに名機と呼ばれるにふさわしい、コストパフォーマンス最強のアンプと言えるでしょう。

私は、現代の50万円くらいのプリメインアンプとも渡り合えると思っています。

ヤマハの名機は自然なサウンド

引用:https://audio-heritage.jp/YAMAHA/amp/a-1000.html

A-1000 定価12万8,000円 1984年ごろ発売
中古相場 2万5,000円~3万5,000円
おすすめ度★★★☆☆

ヤマハのオーディオ製品のコンセプトが「ナチュラルサウンド」であることはご存じでしょうか。

自然な音を目指して製品が作られているため、ヤマハのスピーカーの型番はNSから始まり、全てのヤマハのオーディオ製品はナチュラルサウンドを目指して設計されています。

そんなヤマハの製品であるA-1000の音自体は水準が高いのですが、おすすめ度が星3つなのには大変な理由が。

それは、基本的にヤマハの製品は、プレーヤーからスピーカーまで全ての製品をヤマハで統一しないと、真にナチュラルサウンドが出てこないから

結構、ヤマハ一式で揃えるのって大変なんですよね。

私は過去にヤマハのスピーカー NS-1000M(NS-1000のモニターバージョン)が好きで使っていました。

後述するNEC A-10 TYPEⅢで鳴らしていましたが、どうも違和感のある音しか出すことができず。

パワー的には、ヤマハ A-1000よりも倍くらいもありそうなNEC A-10 TYPEⅢがです。

プレーヤーもケンウッドでヤマハではなかったために、そのような音になってしまった可能性が。

オールヤマハで揃えなければ実力を発揮できないところや、入手性が悪いなどの理由から星3つとしています。

そんなヤマハ A-1000の音の特徴について説明します。

NS-1000(NS-1000Mの家庭用バージョン)という、30cmウーファーを搭載しているヤマハの3wayの大型密閉型スピーカーをご存じでしょうか。

重さ40kgほどもある鳴らすのが大変なスピーカーなのですが、A-1000の大きな特徴はNS-1000用の音質補正回路が搭載されていること。

つまり、それだけ大型のスピーカーを鳴らせるだけのパワーがアンプにあるということです。

A-1000は低音域から高音域まで全体域に渡ってフラットで、音場の広がり方も作り込まれているため、アンプ単体として見ても優秀な製品であることは間違いありません。

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ソニーの名機は何十時間でも聴ける音

引用:https://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/amp/ta-f555esxii.html

TA-F555ESXⅡ 定価12万8,000円 1987年発売
中古相場 3万円~3万5,000円
おすすめ度★★★★☆

こちらのアンプは星4つですが、限りなく星5に近い星4です。

星5に届かなかったのは、音が少し優等生過ぎて、聴きごたえ的に足りない曲も出てくると判断したためです。

オーディオメーカーとしてのソニーはアンプの設計において、特に振動設計に重点を置いていたようで、置き場所の影響を受けづらい作りをしている優秀な製品が多いのが特徴。

下位モデルに333(中古相場2万円~2万5,000円ほど)がありますが、価格差は1万円ほどなのに音の差はそれ以上に感じられるため、333を購入すると後々後悔することになりかねません。

333まで視野に入れた場合には、こちらの555を手に入れる方がコストパフォーマンス的に抜群です。

というか、333クラスだと後で買い替えたくなる可能性が高いので(7万9,800円アンプですし)、555を選択する方が賢いでしょう。

そんなTA-F555ESXⅡは、振動設計や共振設計をさらにとことん突き詰めたアンプです。

そのおかげで、音の解像度が高く仕上がっております。

とにかく聴きやすい音が特徴で、それでいて低音域には量感があり、高音域は聴き疲れしないながらも十分なキレのあるバランスの良い音となっている優秀なアンプ。

ソニーのアンプと言うとロック向けのイメージもあるかも知れませんが、ほかにもJAZZやポップス系などオールジャンルで鳴らせる音に仕上がっています

パナソニックの名機は圧倒的な解像度

引用:https://audio-heritage.jp/TECHNICS/amp/su-ma10.html

SU-MA10 定価10万7,000円 1989年発売
中古相場 3万円~3万5,000円
おすすめ度★★★★★

私個人的に推しのアンプがこちら。

SU-MA10の大きな特徴は、その圧倒的な音の解像度

特に女性ボーカルの音にもろに現れており、このアンプを使うだけで透き通るような、まさに美音に変化するのです。

パナソニックのオーディオブランドであるテクニクス独自の電源回路で、classAAというものをご存じでしょうか。

SU-MA10 にはclassAA回路が搭載されており、それによりS/N比140dBというとんでもなく高い数値をたたき出しています。

このS/N比の高さが、先ほど説明した音の解像度に繋がるわけですね。

(大体のアンプは120dB以下であり、120dBでも十分すごい数値です)

また、このアンプにはD/Aコンバーターも搭載されています

同軸/光入力が共にあるため、テレビやPS4などの音も入力できる便利な一品。

このアンプに搭載されているD/Aコンバーターも、もちろんclassAA電源で駆動されているので、実際に使ってみた時のそのどこまでも透き通るような音には驚かれるでしょう。

さらに、大容量の電源トランス(300VA)を左右で独立して採用しているため、パワーもかなりあり大型のスピーカーでも十分に鳴らすことが可能。

使い勝手抜群です。

アンプのデジタル入力とアナログ入力で音が大幅に変わるので、どちらも試してみると違いが良く分ります。

D/Aコンバーターで音が変わるということもよく分かる、面白い製品です。

NECの名機はナタのような切れ味の音

引用:https://audio-heritage.jp/NEC/amp/a-10iii.html

A-10 TYPEⅢ 定価11万8,000円 1986年発売
中古相場 旧4万円前後、現状10万円前後
おすすめ度★★★★★

A-10 TYPEⅢは、現在の中古相場は10万円前後となっておりますが、元々は4万円前後でした。

途中で相場が上がったのは、このアンプの内部がとんでもないことが、後々有名になってきてしまったからです。

現状の中古相場が10万円前後なのに、あえてこのアンプを一覧に載せたかったのには理由があります。

元々が相場4万円前後であったこともそうですが、A-10 TYPEⅢについて詳しく知ることで、当時の背景やアンプ製品でどこを見るべきか(電源回路が大事であることなど)が分かってくるから。

そんなA-10 TYPEⅢの音は、暴れ馬の一言に尽きます。

これはA-10シリーズでないと出せない音であり、全てを無視して突き刺してくるような、鋭い音が一番の特徴。

とにかく、あり過ぎるくらいにキレの良い音が出てきます。

好きな人にとっては、このアンプでなければならないくらいになりますよ。

そして音の分離が良く、前に出てくるような音にもなり、特にシンバルの音は最高のキレで目の前に現れてくれます。

私も相場4万円の時に購入し自宅で初めて使った時には、このシンバルのキレに惚れて、シンバルの音にうるさい人になっていました(笑)

何となく、相場が一気に上がってしまった理由が想像できてきたのではないでしょうか。

当時のNEC社内では、社長がこのアンプに対して「売れば売るほど赤字になる製品を作って何になるんだ?」というようなことを言われていたようです。

そのくらいこのアンプは超物量投入(特に電源回路)されていました。

私がTYPEⅢをすすめる理由は、A-10初代が最もキレのある音となっており、TYPEⅡでだいぶおとなしくなり、TYPEⅢがおよそ中間くらいの音を出してきてバランスが良いから。

このアンプの使いこなしを説明すると、パワーアンプダイレクト端子にプレーヤーから直接接続して、左右独立したボリュームで調整する鳴らし方が、最も良い音で鳴ってきます。

刺すような高音域が欲しいという方には、特におすすめの変わり者です。

その他のメーカーの名機について

あれ、オンキョーやマランツなどの製品が紹介されていないぞ?と思われた方もいるかも知れません。

色々と調べながら思い出していましたが、中古相場5万円以下で、この2社もしくは他社でおすすめのアンプは私の中にはありません。

マランツ製品のアンプは、型番が2ケタの製品(4ケタの上位モデル)でないと音に厚みが足りないですし、オンキョー製品は後で買い替えたくなるものばかりで、おすすめ製品は見つからず終い。

ただ、だからと言ってマランツやオンキョーやその他メーカーダメじゃん!とならないでほしいです。

マランツのアンプの歴史には、model 7やmodel8やmodel9(どれも相場30万円越え)などの最強の真空管アンプがありますし、オンキョーはA-927(相場3万円~4万円)というトランジスタアンプなのに無帰還回路である製品があります。

オンキョーのA-927をおすすめに入れなかったのは、そもそもがトランジスタアンプを無帰還回路にすると、音のひずみがひどいことになるという理論があるからです。

私が聴いたことがないことが一番の根拠ですが、理屈としてトランジスタアンプを無帰還にするというのがまだ理解できていないため、おすすめに入れませんでした。

A-927の音は、「無帰還であるために素直で良い」という評価も、ネット上には見受けられます。

A-927で接続した音を実際に聴いてみると印象が変わる可能性があるので、今後聴く機会があればめっちゃ良かった!と書き換えるかも知れません。

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まとめ

プリメインアンプの名機を元ハードオフ店員が選んでみました。

各メーカー毎の製品の音の特徴の解説で、どこに力を入れてアンプを設計していたのか分かってきたと思いますし、同じ価格帯でも現代のアンプにはない情熱が感じられたかと思います。

特にNECのA-10のように、採算度外視でとにかく良い製品を作るという信念を感じられるようなことは、残念なことに現代ではどの分野でもなかなか見かけられないですよね。

今回は各メーカーから一つだけ選んでみましたが、私が書いていることが全てではないし、実際に音を聴いてみないと答えは出せないと思うので、あくまで参考程度にしてみてください。

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