フォステクスのスピーカーを使って自作する中で、最初に試すのはバスレフ型ではないでしょうか。
フォステクスが設計、製作しているスピーカーユニットの多くは、バックロードホーン用となっているものが多いです。
これは、かつて数々のバックロードホーンスピーカーを設計された長岡鉄男さんという方と、フォステクスの間で強い繋がりがあったことが関係しています。
フォステクスはバックロードホーンにより大きくなってきたと言っても過言ではないため、もはやバックロード用のユニットはフォステクスというメーカーの特色でもあります。
ただ、初めてスピーカーを自作される方や自作経験の浅い方だと、バックロードホーンをいきなり作ろうと思われる方は少ないかも知れません。
バックロードは難しいからまずはバスレフから作ってみようと、フォステクスのユニットに対してとりあえずでバスレフを選択すると、私のように永遠にフォステクスの沼にはまってしまいます。
私も最初全く分からずに、FE126Enを購入してバスレフ型を自作したのが10年前。
そして、FE126Enにマッチしたと思えたエンクロージャーに出会えたのがそれから10年後。
つまり、長い間バスレフにマウントしていたために、FE126Enから良い音を出すのに10年もかかってしまったのです。
フォステクスのユニットを扱っていこうという方の中で、私のような人が少しでも減っていただけるようにと思い、ここでは私がFE126Enにマッチしたと思えたエンクロージャーと音を書いていきます。
是非ご覧ください。
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フォステクスのスピーカーで自作する
フォステクスのスピーカーで自作して良い音を出すには、バスレフでは不可能と言っていいです。
私はスピーカーエンクロージャーをいくつも自作しておりますが、フォステクスのスピーカーユニットをバスレフ型にマウントして、市販のスピーカーに追いついたと思えたものは一つもありません。
むしろ、中古相場1万円以下のスピーカーの方がよっぽど良い音が出る、コストパフォーマンス最悪のものしか作れませんでした。
よくインターネットで検索すると、フォステクスのバックロード用ユニットをバスレフ型におさめて良い音が鳴ったとか、低音域がまともに出たとか、そういった記事を見かけます。
私に言わせれば、そんなわけがないんです。
なぜなら、バックロードホーン用に設計されているから。
それ以上の根拠はなく、フォステクスのバックロード用ユニットで自作するってそういうことなんです。
そんなじゃじゃ馬なフォステクスのユニットで、私が使ってきたFE126Enでしてきたことを紹介します。
フォステクスのFE126En
私が使用しているFE126Enが以下。
Q0は0.3、最低周波数は83Hzの12cmユニットです。
そして、私のオーディオシステムはこのような感じ。
- プレーヤー:KENWOOD DPF-7002(同軸出力)
- D/Aコンバーター:Topping D20(MUSES02使用、トロイダルトランス電源)
- トランス式パッシブプリアンプ:イシノラボ CA-777GFM・HP
- 真空管アンプ:SV-S1616D(KT90使用)
- 部屋:6畳間
音は中音域に少し寄ったような特徴を持っており、15,000Hzくらいで一気にレベルが下がるので、人によっては高音域に不足感を感じるかも知れません。
でも、8cmや10cmのフォステクスのユニットと比べると、12cmらしい低音域は十分に感じられます。
ボーカルは8cmユニットに負けますが、ボリュームを上げた時には12cmの余裕が感じられ、音が変に崩れたりしづらいです。
それでも、やはりバスレフ型のエンクロージャーに入れてみると、ダクトから出る音との繋がりが非常に悪く、スカスカの低音域にしかなりません。
どれだけダクトを調整しても、エンクロージャーを大きくしてもダメ。
木材の無駄になってしまいます。
いくつも失敗して、ようやくFE126Enをバックロードホーンにマウントしようと覚悟が決まったのです。
ちなみにですが、FE126Enの説明書には推奨エンクロージャーでバックロードホーンが記載されています。
これを作らない理由は、バスレフダクトがあるからです。
私はバスレフのクセのある音は嫌いなので、これが選択肢に入ることはりませんでした。
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FE126Enの扱いの難しさ
私が最初に試したバックロードホーンは、D-102MKⅡという長岡鉄男さんが設計されたバックロードホーンでした。
D-102MKⅡはすでに手放しているため画像はないのですが、幅320mm奥行き275mm高さ580mmの大きさで、フロントにホーンの開口があるタイプのバックロードホーンです。
最初に音出しした時、「お、FE126Enでようやくまともな量感の低音域が出てきたぞ」と思い、しばらくは気に入って使っておりました。
やはりバックロードホーンにマウントするのが正解だったのかと、ここで初めて身を持って知ったのです。
でも使っているうちに、ホーンとユニットの音の繋がりが良くないとか、大きな音量を出さないと音のバランスが悪いとか、細かいところが気になりだしてくるのです。
そして思いました、「長岡鉄男さんのバックロードホーンでも、FE126Enに合わないのか?」と。
私は諦めかけていました。
FE126Enは一部の人たちからは「外れユニット」とまで言われており、このユニットを選択したこと自体が間違っていたのかと。
自分には扱いきれないままに終わるのだろうと。
そんな時、何でもないネットサーフィンで転機が訪れました。
FE126Enに合うエンクロージャー
ある時インターネットでバックロードホーンを調べていると、中古で長岡鉄男さんが設計された、超人気モデルである「D10バッキー」の作りの良さそうなものが出品されておりました。
D10バッキーは結構前から興味があり、シナベニヤ合板の15mm厚で丈夫そうに作られていたので購入してみました。
D-10バッキーは10cm用のものだったために、最初はFE108NSなどのユニットを購入して、FE126Enとはおさらばするつもりだったのです。
でも、FE108NSは高いし、せっかくだからと試しで取付穴をガリガリ削って12cm用に広げて、FE126Enをマウントして使ってみようと思いました。
削った後の仕上げは良くないですが、こんな感じに。
そして音出ししてみて、ぶっ飛びました。
信じられないです、FE126Enを使って弾むようなベースの音が出てくるではありませんか。
ピアノの音も楽器のように響き、低音域に不足感がないのです。
FE126EnとD10バッキーで検索すると、バッキーの開口径を広げるように設計しなおす方がいいとか、そういった記述が見られるため、決して数値的には合っているとは言えないのかも知れません。
それでも、出てきている音はホーン特有のボーというクセはほぼなく(というかない?)、バックロードらしいまさに前に出るような音が目の前に。
低音域から高音域までのバランスが絶妙で、ジャズやクラシック、ポップスを鳴らしても、細かい音の欠点が気にならないレベルで、全ジャンル鳴ってくれるのです。
D-10バッキーは自作するのもそんなに難しいものではないため、もっと早く自作しておけばよかったと後悔すると同時に、やっとFE126Enに合うものが見つかったと嬉しさがこみ上げてきました。
それでも、悪いところもあります。
決してフラットな低音ではなくて、聴きとりづらい音も見受けられますが、そんなことよりも自分が好む低音域がグイグイ出てくることと、全体的な音のバランスの良さで許せてしまうのです。
バックロードホーン同士でも、こんなにも変わるんだなぁとつくづく思ったのでした。
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まとめ
フォステクスのスピーカーで自作することについて書いてみました。
今回は私が使ったFE126Enで解説しましたが、使いこなしが難しいことが十分に伝わったのではないでしょうか。
変な言い方ですが、フォステクスのバックロード用ユニットはバスレフ型に逃げると失敗します。
フォステクスのユニットでうまくいかなくて困っている方は、まずは制作が比較的容易なD10バッキーを自作されることを強く勧めます。
バックロードホーンの特徴から良さまでよく分かる、素晴らしいエンクロージャーです。
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